高キビはモロコシともいわれ、英語名はソルガム。サハラ砂漠南縁の広範な地域で栽培化され、アフリカでは今なお全域で主食糧源になっている作物。粉にして、煮立ったお湯にふり入れてかき混ぜながら煮て作る粉粥「シマ」にして食べられてきた。発芽させてコンゴ(スーダン)やダーム(西アフリカ)という酒も造る。大きく分けて白いうるち種と赤茶色のもち種がある。
5000年以上前にインドに伝えられ、デカン高原を中心にした乾燥地では今でも主要な食糧源、白いうるち種が主流で、挽き割って炊いて食べる。インドのバンガロールには白高キビ粉100%の焼きたてチャパティー専門レストランがあり、人気だ。中国には赤茶色のもち種が伝わり、高梁(こうりゃん)と呼ばれている。インドに次ぐ高キビ生産国で、食用にするほか白乾(パイカル)という蒸留酒が有名。
高キビは乾燥に強く、アルカリ土壌でよく生育し、痩せ地でもかなりの収量が上がる作物。その名のとおり背丈は3メートル以上まで生育する。幹は垣根、屋根、壁の材料や、敷物の加工原料、そして、染料、蝋、製紙パルプの原料にもなり、箒にしたり燃料としても利用できるすぐれものだ。青いうちに刈れば飼料にもなる。現在、飼料作物としての研究が進んでいる。
日本には赤茶色のもち種が古くから伝わり、粉を団子にして食べてきた。粒をそのまま炊くとまるで挽き肉のような色に炊きあがる。キュッキュッとした弾力のある歯ごたえが特徴。塩分と脂肪分を加え、野菜と取り合わせるとあらゆる挽き肉料理を作ることができるのでミートミレットと呼んでいる。肉嫌いな人にも喜ばれる臭みのないおいしさが魅力。
[出典元] 2004年11月「雑穀の書」つぶつぶグランマゆみこ著
[Photographer] 福永仲秋