アワより幾分大きくて鮮やかな黄色の粒がもちキビ。白米に1〜3割炊き込むと、白と黄色のコントラストが美しいおこわが炊ける。ひとつまみの海塩を入れて炊くと、風味と旨味が高まり、栄養価は玄米ごはん以上。3割もちキビごはんをチャーハンにしたら、卵チャーハンの味がした。
もちキビ100%で炊けば、目に鮮やかな炒り卵風の炊きあがりに。微かなえぐみをともなう、キリッとしたうま味が特徴。アワは女性的な味わいの雑穀だが、キビは男性的な味わいがする。好みの野菜と炒め合わせたスクランブルエッグならぬスクランブルキビは、手軽でおいしいわが家の定番メニュー。もちキビのニックネームはエッグミレット、オムレツも作れる。見た目で3分の1量の小麦粉と塩ひとつまみを混ぜると卵入りのパンケーキの生地のようになる。ピロシキ、アメリカンドッグ、何でも作れる。
キビは中央アジア原産、乾燥に強い穀物。西欧でミレットというとうるちキビのこと、お粥にして食べる。オートミールと並ぶ大切な主食だった。同じキビでも、うるちキビは色がやや白っぽく、炊くと茹で卵の裏ごしのよう。ふわふわあっさり、さらっとした黄色いそぼろは個性の軽いトッピング食材として、サラダに、炒め物にと活用できる。西欧の自然食料品店にはどこでも、うるちキビやその挽き割り、粉が売られている。
[出典元] 2004年11月「雑穀の書」つぶつぶグランマゆみこ著
[Photographer] 福永仲秋