1993年。
ゆみこのもとに、環境ジャーナリストの友人から連絡が入りました。
一緒に活動しているまだ20代後半の仲間が倒れたのこと。
早くからエコロジー運動に目覚めて活動していた彼女のことは、よく聞かされていました。そんな彼女が白血病の一種で血小板が作れない病気だと言われ、長くて半年のいのちだというのです。
彼女は環境にやさしい食事ということで、自然食品を料理して、まじめに菜食生活を続けていたそうです。
動物性食品を一切やめて生野菜や果物をたくさん食べる。オーガニックなものならコーヒーも砂糖もOK。減塩、油抜きで薄味、豆腐製品がおかずのメイン。朝食は天然酵母のパンにオーガニックコーヒーやハーブティーといった洋風のベジタリアン食生活でした。
彼女の実践していた自然食の知識が、彼女の体を破壊したことがわかり、ゆみこはとてもやりきれない気持ちになりました。
そこで持てるだけの知識を彼女や彼女のパートナーに伝えました。
その結果、彼女はずいぶん元気に回復しましたが、常に輸血が必要となる病気だった為に退院することもできず、3年後に彼女はくも膜下出血で亡くなりました。
最初に倒れた時のショックが脳に影響したせいで、いつも眠いと言って意志力があまり働かなくなっていたことも、回復がそこまでだった原因ではないかとゆみこは言っています。
その時のくやしい気持ち。それがゆみこに「食」と「生き方」の基本をより一層の追求をさせる原動力となったのです。
工業デザイン学科の大学を卒業したゆみこは、文房具会社に就職しました。
企画、デザイン、商品化のすべてのプロセスに関わり、数々のヒット商品を生み出したゆみこ。しかし、会社、通勤というシステムに馴染めず、26歳で会社を辞め、27歳のとき企画デザイン会社を設立。モノの背景にある、見えない「風」のようなものをデザインしたいと「オフィス・フウ」と名付けました。
その後、一緒に会社を辞めた仲間と手がけたデザインはヒット商品を連発。バブリーな彼女は、グルメを気取って今日はフレンチ、明日はエスニックと食べ歩きを楽しみ、休暇を取っては世界中を遊んで回りました。
しかし、デザインを続けていくうちに、どこの家にもモノが溢れている現状を目にしました。みんなモノは十分にあるのに、少しも幸せそうには見えません。そうして、自分たちが本当に欲しくないものを売れるように企画・デザインすることへの矛盾や、自分たちの暮らしそのものに疑問を感じるようになっていったのです。
彼女は「自分がどう生きたいのか、何をしたいのか、まず本音で研究しよう」と思い立ち、社名を「フウ未来生活研究所」に変更。本当の生き方、本当の社会のあり方、暮らしのあり方を求めて、模索する日々が始まりました。
そんな頃、運良く出会った、自分で自分の体を癒す方法を教える講座で、ゆみこは3つの発見をしました。
1つ目は、食べ物や食べ方には、体に備わっている働きを応援し高めてくれる「生命創造型」と、働きを低下させ体そのものを破壊する「体虐待型」があるということ。
2つ目は、私たちの頭の中は、体の仕組みに反した食の知識と欲望でいっぱいだということ。
3つ目は、私たちの食環境のほとんどが体が悲鳴をあげるような、食べ物とは言えない食べ物にすっかり占領されてしまっていること。
自分の体のことをもっとちゃんと知りたい、命と食べ物の関係をきちんと学びたい、生命力を高める料理法を知りたい、と本気で願ったゆみこは、収録料理数5万2000点、全50巻の世界最大の食文化データベースとも言われる「日本の食生活全集(農文協)」をあるだけ揃えて片っ端から読破しました。
そして、たった数十年前まで、日本人のいのちを支えてきた食べ物が、「雑穀」だったことを知ったのです。
1982年、ゆみこが30歳のときでした。
彼女は雑穀のおいしさに衝撃を受けます。
「ぼそぼそ」「まずい」「大昔の食べ物」「貧しい」「栄養がない」という先入観を持っていたのが嘘のようでした。
日本人のいのちを支えてきた食べ物である雑穀には、人間にとって必要な栄養素が人間の体の仕組みにぴったりのバランスで詰まっていることも知りました。だから、雑穀を食卓に呼び戻すことが、「未来を開く」と確信したのです。
戦後の西洋化、近代化とともに、畑からも、食卓からも、人々の意識からも消滅しかかっていた雑穀。でも、雑穀は必ず「未来を開く」に違いない!そう確信したゆみこは、名前につきまとっていたネガティブなイメージを一掃するために、「つぶつぶ」という愛称をつけたのでした。
ゆみこは、毎日の料理の中から、1つ1つの雑穀がそれぞれ挽き肉のおいしさ、卵のおいしさ、チーズのおいしさ、チキンのおいしさ、魚のおいしさを持っていることを発見しました。
そこで、現代っ子の大好きなハンバーグやピザやナゲットを雑穀で作ってみたら、そのおいしさは想像以上。
誰もが美味しいと感激してくれるベジタリアンハンバーグやチーズ嫌いの人も喜ぶ本格ピザ、卵いらずのオムレツ、誰にも雑穀だと見破られないナゲットなど、次々と驚きのレシピが誕生しました。
しかも、例えば高キビハンバーグなどは、つぶつぶ3000粒が集まってできています。つまり、その3000粒を畑にまけば翌年に1年分の雑穀が収穫できるだけの創造のエネルギーが一人分のつぶつぶ料理に秘められているということ。
それだけのエネルギーを持った雑穀は、体と心と世界を平和に導く食であると再認識しました。
そこで、雑穀が主役の健康な食生活も「つぶつぶ」と呼ぶことにしたのです。
1983年、未来食レストラン「風」(フウ)を開店しました。
社員食堂兼用のレストランとして、仕事仲間の女性たちと交代で週末3日間だけ営業。
メニューは高キビハンバーグ、ヒエのコロッケ、玄米ごはんパイ、玄米粉ごはんパイ、バターを使わないパイ皮と乳製品を使わないクリームシチューの壺焼き、つぶつぶスープ、シュガーフリー、卵もミルクも不使用のアイスやケーキなど、誰もが興味を持って来てみたくなる店をと、遊び心いっぱいにスタートしました。
そんな、毎週末が料理研究の場となり、レストランというより仲間たちと料理のデザインを楽しむ夢のキッチンのようだった店も、いつしかスタッフも増えてちゃんと営業するレストランに成長。
若い人がもっと気軽に来られるよう、「つぶつぶ」がもっと広まるようにと「つぶつぶカフェ」として店名も内装も新たにしたのでした。
つぶつぶ雑穀のすごいところは、スイーツ食材としても活用できることでした。
お菓子作りの定番食材、砂糖や蜂蜜、バターやミルク、生クリーム、メープルシロップ、チョコレート、ベーキングパウダーやゼラチンなどを一切使わずに、甘さも味も満足の和菓子、パイ、ケーキ、ババロアが作れます。
しかも、卵なしでは不可能と思っていたシュークリームの皮でさえ、本当に何でも作れたのです。
例えば、ヒエ粉とりんごジュースを混ぜて煮るだけで作れるノンエッグカスタードクリーム。
雑穀甘酒を入れて焼く雑穀粉100%のスポンジケーキ。
雑穀甘酒と豆腐と練りゴマで作るアイスクリーム。
高キビ甘酒のトリュフチョコレート・・・。
不足しがちな繊維やミネラル、ビタミンや酵素たっぷりのスイーツたちは、安全、安心ということよりも、大いばりで食べられ、足りない栄養を補給できる魔法のお菓子なのです。
しかも、身体を冷やすと言われるアイスやババロアを食べてるはずなのに、体はポカポカになり、ガンコな便秘が解消し、冷えや貧血が解消していきます。
あまりにも魔法のようなので「つぶつぶミラクルスイーツ」と名づけました。
その証拠に、卵アレルギーを持っていてスイーツをずっと食べられなかった子供たちが、つぶつぶカフェに来て「このカスタードなら、いくらでも食べられる!」とうれしそうにたいらげていきます。
つぶつぶミラクルスイーツは本当に魔法のようなスイーツなのです。
雑穀に出会って8年がたった1990年6月30日。
つぶつぶカフェの運営を仲間に任せ、ゆみこは、パートナーと3人の子供たちを連れて、山形県の広葉樹に囲まれた雪深い山の中に、ライトバン一台に積めるだけの荷物を持って引っ越しました。
「地面が生きているところで暮らしたい!」と、地球と直接つながる暮らしを求めての大移動でした。毎日、4ヶ月の次男を抱き、10歳の長男と2歳の長女の手を引きながら、広葉樹の茂る山の中を散歩し、田畑を耕し、薪ストーブの上で雑穀と野菜を料理する手作りの暮らし。
それは、それまで味わうことのなかった輝きに満ちた日々でした。
月日は流れて1995年。
ゆみこたちは縁あって山奥から山里に引っ越し、40人が一緒に暮らせる大きな木の家を建てました。「いのちのアトリエ」と名づけられたその家では、薪ストーブ1台の力で、真冬でも素足で暮らせます。それがまたミラクル。
若きエコロジストの友人が、間違った自然食の知識で命を落としたことがきっかけでした。
「何とか、ほんとうのことを伝えなくては!」
「いのちと食べ物のホントの関係を伝えたい!」
その想いから、ゆみこが丸々1年かけて書き上げたのが「未来食-環境汚染時代をおいしく生き抜く」でした。
1995年に発刊になり、今もロングセラーとして生き残っています。
発刊と同時に、「未来食サバイバルセミナー」(現:未来食セミナー)をスタート。「生き残りの食の理論と技をトータルに学ぶ食のセミナー」として20年続けることになりました。日本全国で実践者が、植物が繁茂するかのように増え続け、家族ぐるみで実践することでラブラブ夫婦、仲良し家族がどんどん生まれ、4世代で実践している家族も増えています。
そして、2017年3月、「未来食」の続編とも言える最新刊「7つの食習慣汚染 -真剣に生きたいあなたに贈る、真逆の真実-」が出版、同年9月には実践本「未来食 7つのキーフード」が出版されました。
2019年3月に出版された「オトナ女子は人生を”食”で奏でる」は、アマゾン売れ筋ランキング「女性と仕事」部門で書籍として1位を獲得、東京有名書店で売れ筋ランキング1位になるなど、全国書店で取り扱い中。女性の生き方と食の関係や、輝く女性の新しい「食」エピソードが、多くの人の心を掴んでいます。
食の転換によって、どんどん元気になり、自信に満ちて、自分らしい生き方を求めて動きだしている女性とその家族。 その中から、「こんな食生活があることや未来食つぶつぶの美味しさを伝えたい」と、自宅でつぶつぶ料理を伝える女性が生まれました。 そしてその中でも、未来食つぶつぶによって生き方まで変わる、この幸せを伝える仕事がしたいという仲間が、未来食セミナーの講師として育ちました。
2009年。
「つぶつぶカフェ」に続き、雑穀と野菜で創作した本格パスタとピザが楽しめる「未来食レストラン」をオープン。
2015年。
つぶつぶグランマゆみこは日本人女性で初めて、国際ベジタリアン連合(IVU)の終身会員でもあるNPO法人日本ベジタリアン協会認定の学会員最高位、ベジタリアンマイスターとなりました。
2016年。
「つぶつぶカフェ」と「未来食レストラン」の両店舗を融合し、
「未来食カフェレストラン TUBU TUBU」としてリニューアルオープンしました。高キビハンバーグをはじめ、人気のつぶつぶ料理や、ノンシュガーのつぶつぶビーガンスイーツも体感できるショールームとして、全国各地からお客を呼んでいます。
2017年。
第2回ベジタリアンアワード大賞受賞。
2018年。
第3回ベジタリアンアワードにて、つぶつぶ料理教室ネットワークが、料理家グループ賞受賞。現在全国で89ヶ所で、つぶつぶ料理教室を展開しています。
これが、ゆみこと私達つぶつぶの歴史です。
そして、あなたに伝えたいのは、こんな私達と一緒に「つぶつぶを楽しみませんか?」といったお誘いです。
現在、東京早稲田つぶつぶセミナーホールでは、つぶつぶマザーが、ミラクルな体験談を聞き未来食つぶつぶの美味しさと可能性に触れる体感会も随時開催しています。
あなたが自然食やビーガン食、ベジタリアンに興味を持たれているのであれば、ぜひ一度足を運んでみてください。
きっと今までとは違った世界が見えるようになると思いますよ。
あなたに会えるのを楽しみにしています。
(※あくまでも個人の体験談です。)